【台湾の神隠し】魔神仔(モシナ)の正体と不気味な都市伝説

​連れ去られた者は、自分が豪華なごちそうを食べていると思い込んでいる。

しかし、発見されたとき口の中に詰め込まれていたのは……

大量の土と牛糞だった。

​そんなおぞましい言い伝えをご存じでしょうか。

​ジブリ映画『千と千尋の神隠し』の舞台に似ているとして一躍有名になった台湾ですが、現地には日本とはまた一風異なる、恐怖の神隠し伝承が存在します。

​その主犯とされるのが怪異、魔神仔(モシナ)

​ただの古臭い民話と切り捨てることはできません。

なんと現代の台湾でも、山中でハイカーや高齢者が忽然と姿を消し、数日後に不可解な状況で救出される現代の神隠し事件が相次いでいるのです。

​今回は、台湾全土を恐怖に陥れる魔神仔の正体、そして恐ろしい都市伝説の数々に迫ります。

​1. 台湾の神隠しを引き起こす「魔神仔(モシナ)」とは?

​台湾において神隠しにあうことを、現地の言葉(台湾語)で被魔神仔牽走(モシナに連れていかれた)と表現します。

​この魔神仔(モシナ)とは、一体どのような存在なのでしょうか。

​外見と特徴

​古くからの言い伝えや目撃証言を総合すると、モシナの姿にはいくつかの共通点があります。

  • 背丈: 大人の腰ほどしかない小さな子供、あるいは老人のような姿
  • 服装: なぜか赤い服や赤い帽子を身に着けていることが多い
  • 動き: 敏捷で、人間では登れないような岩場や竹林を軽々と移動する
  • 声: 姿をくらましながら、知り合いや家族の声で被害者の名前を呼んで惑わす

​日本の天狗や妖怪座敷わらし、あるいはヨーロッパのフェアリー(妖精)にも似た性質を持ちますが、モシナが引き起こす現象は極めて悪趣味かつ怪奇的です。

​2. 虫や牛糞を口に詰め込む?モシナの悪質すぎる手口

​モシナによる神隠しには、決まったパターンが存在します。

​① 名前を呼ばれて意識が遠のく

​山道や畑仕事をしている最中、ふと懐かしい声や知り合いの声で自分の名前を呼ばれます。

振り返ってその声に引き寄せられると、いつの間にか自覚がないまま深い森や山奥へと歩き出してしまうのです。

​② 豪華な「ごちそう」の罠

​姿を消した被害者は、数日から数週間後に警察や捜索隊によって発見されます。

無事に保護された被害者は、一様に綺麗なお姉さんに案内された、豪華なお城で美味しいごちそうをご馳走になっていたと口にします。

​しかし、現実は凄惨です。

彼らが発見されたとき、その口の中には大量の土、枯れ葉、虫、さらには牛糞がぎゅうぎゅうに詰め込まれていたのです。

​モシナは被害者に幻覚を見せ、不潔なものを「ごちそう」として食べさせながら、山の中を連れ回して楽しんでいるとされています。

3. 現代でも起きている?怪奇「日本人旅行者・神隠し事件」

​そんなものは昔の迷信だろう、と思われるかもしれません。

しかし、防犯カメラやGPSが普及した現代でも、モシナの仕業としか思えない事件が台湾で発生しています。

​特に有名なのが、2013年に起きた日本人観光客の失踪事件です。

​金瓜石・黄金博物館での事件

​台湾北部の観光地・金瓜石(有名な九份のすぐ近く)にある黄金博物館で、ツアーに参加していた70代の日本人男性が突然姿を消しました。

​男性は携帯電話や身の回りの品を置いたまま、ほんの少しの隙に消えてしまったのです。

警察や消防、現地住民による大規模な捜索が行われましたが、監視カメラにも怪しい動きは映っておらず、手掛かりはゼロ。

現地メディアは一斉に日本人が魔神仔(モシナ)に連れ去られたと報じました。

​4日目の不可解な救出

​捜索開始から4日目、男性は奇跡的に保護されました。

しかし、彼が見つかったのは観光ルートから遥かに外れた、断崖絶壁の草むらの中

​70代の男性が一人で登れるはずもない厳しい地形であり、本人は怪我もなく無事だったものの、どうやってそこまで行ったのか、山中で何をしていたのか、の記憶がすっぽりと抜け落ちていたのです。

​まさに、現代の怪異として語り継がれる奇妙な神隠し劇でした。

​4. 台湾を恐怖の底に突き落とした都市伝説「紅い服の少女」

​モシナの現代的派生として、1990年代末に台湾全土を震撼させた有名な都市伝説があります。

それが紅い服の少女(紅衣小女孩)です。

家族のビデオに映った「何か」

​1998年、ある家族が台湾中部の大坑(ダーコン)でハイキングを楽しんでいた際、ホームビデオを撮影しました。

​後日、その映像を見返した家族は戦慄します。

楽しそうに歩く家族のすぐ後ろを、顔が青白く不気味な赤い服を着た少女がついてきていたのです。

参加者にそんな少女はおらず、ビデオ映像は現地のオカルト番組で全国放送され、空前のオカルトブームと恐怖を巻き起こしました。

​その後、ビデオを撮影した家族の一人が急死し、関係者が相次いで山で神隠しに遭ったという噂が拡散。

この紅い服の少女こそが、モシナの化身(あるいは山に棲む怨霊)であると信じられるようになったのです。

​この都市伝説は2015年に『紅い服の少女 第一章 神隠し』として映画化され、台湾ホラー映画界を代表する大ヒット作となりました。

​5. 魔神仔(モシナ)に遭遇した時の対処法

​もしあなたが台湾の山や観光地を訪れ、モシナに出会ってしまったらどうすればよいのでしょうか。

​台湾の民間伝承には、以下のような魔神仔対策が伝わっています。

  • 爆竹を鳴らす・大きな音を出す: モシナは大きな音や火を恐れます。捜索隊が爆竹を鳴らしながら山に入るのはこのためです。
  • 赤いものを身につけない: 赤い服はモシナを引き寄せると言われているため、山歩きの際は避けるのが無難とされています。
  • 自分の名前を大声で呼ばせない: 山の中で仲間とはぐれた際、本名を大声で呼ぶとモシナに名前を奪われると言われています。
  • 煙草の煙を吹きかける: 強い匂いや煙を嫌うため、煙草の煙を吹きかけると逃げていくという説もあります。

台湾の豊かな自然の裏に潜む「魔」

​台湾の神隠しを引き起こす妖怪「魔神仔(モシナ)

​単なる都市伝説や昔話として片付けるには、あまりにも具体的で、現代でも似たような怪事件が起き続けています。

​台湾の山々は美しく魅力的に満ちていますが、一歩足を踏み入れれば、そこは人間ではない異界のモノが棲まう領域なのかもしれません。

​もし台湾の山道を歩いているとき、どこかからあなたの名前を呼ぶ声が聞こえたら――

絶対に振り向いてはいけません。

​筆者のひとりごと

​ジブリの『千と千尋』の影響で、どうしても台湾の神隠しと聞くとファンタジーでノスタルジックな世界観を想像しがちですよね。

ですが、現地のリアルな伝承を調べてみると、牛糞を食べさせられるだの、絶壁に置き去りにされるだの、容赦なさすぎて思わずゾッとしてしまいました……!

​特に2013年の日本人観光客の事件は、九份の目と鼻の先で起きているのがリアルで怖いところです。

次に台湾へ旅行に行くときは、どんなに綺麗な景色でも、山道で一人でフラフラ歩くのだけは絶対にやめようと固く心に誓いました(笑)

みなさんも、台湾の山歩きにはくれぐれもお気をつけくださいね!

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