永田まりがサーキットで見た「宝船」“不思議な予感”

​自動車レースという極限の世界では、時に理屈では説明できない不思議な現象が起こります。

コンマ一秒を争うスピード、爆音とG(重力)が渦巻くコックピットの中で、ドライバーは時に研ぎ澄まされた第六感を研露にします。

​今回ご紹介するのは、タレントでありながら本格的なレーシングドライバーとしても活躍されている永田まりさんが体験した、少し奇妙で、それでいて背筋が凍るようなエピソードです。

​レース中に突如現れた「宝船」のイメージ

​それは、永田まりさんが参戦していたある日のレース中のことでした。

順調に周回を重ねていた彼女に、突如として異変が襲います。

マシンの挙動に違和感を覚え、急遽きゅうきょピットインを余儀なくされました。

​ピットクルーが懸命にマシンを確認したところ、判明したのは深刻なオイル漏れ

引火の危険やエンジンの焼き付きを考慮し、無念のリタイアという決断が下されました。

​しかし、このトラブルの最中、彼女の脳裏にはある奇妙なイメージが鮮明に浮かんでいたといいます。

頭の中に、大きな宝船が見えたんです

​本来、宝船といえば七福神が乗り、金銀財宝を積み込んだ縁起物の象徴です。

お正月や夢に出てくれば誰もが喜ぶような吉兆のはず。

しかし、時速200km近いスピードで走るマシンのシートに座っていた彼女が感じたのは、幸運への期待ではなく、得体の知れない恐怖と嫌な予感でした。

​幸運の象徴が「死」を連想させた理由

​なぜ、おめでたいはずの宝船が、彼女に死やリタイを予感させたのでしょうか?

​これには、レーサー特有の直感が関係しているのかもしれません。

極限状態にある脳は、時に抽象的なシンボルを使って危機を知らせることがあります。

  • 異界への誘いとしての 船は古来よりあちら側へ渡るための乗り物としての側面も持っています。
  • 完成されたイメージの拒絶 宝船という完璧すぎる幸福のイメージが戦いの場であるサーキットにはあまりに不釣り合いで異質に感じられた。
  • 終わりの象徴 全てを手に入れた後の宝船は今のレースを終わらせる合図として脳が処理した。

​彼女にとってその瞬間、宝船はお迎えや現世(レース)からの離脱を意味する、極めて不吉なシグナルとして機能してしまったのです。

​守護霊の警告か、脳の防衛本能か

結果として、彼女はオイル漏れによってリタイアしました。

もし、あのまま気のせいだと無理をして走行を続けていたらどうなっていたでしょうか?

​オイルがタイヤに乗ってスピンし、壁に激突していたかもしれません。

あるいは、漏れたオイルに引火して大惨事になっていた可能性も否定できません。

​そう考えると、あの不気味な宝船のイメージは、彼女の深層心理、あるいは目に見えない大きな力がこれ以上進んではいけないとブレーキをかけさせた、一種の防衛反応だったと言えるでしょう。

​宝船を見たら死ぬ(リタイアする)という強烈な直感が、皮肉にも彼女を現実のクラッシュから守ったのです。

筆者のひとりごと

​このエピソードを聞いた時、真っ先に思ったのは、人間の脳って、なんてドラマチックな警告を出すんだろうということです。

​普通なら、焦げ臭いとかハンドルが重いといった五感へのフィードバックで異変を察知するものですが、永田さんの場合はそれが宝船というビジュアルとして現れた。

それも、最高に縁起の良いものを、最高に不吉なものとして変換して。

​私たちが日常で感じる、なんとなく嫌な予感も、実は脳が過去の膨大なデータから導き出した正解である場合が多いと言います。

宝船が見えたから今日はやめておこう、なんて言ったら、周囲からは笑われるかもしれません。

でも、自分の命を預けているのは自分自身。

永田さんのように、自分の直感を信じてマシンのステアリングを切る決断力こそが、プロの勝負師に必要な資質なのかもしれませんね。

​それにしても、金銀財宝を積んだ船を見て死ぬ!と感じる感覚…。

私なら、あ、なんか良いことあるかも?

とアクセルを踏み抜いてしまいそうで、自分の凡人ぼんじんっぷりが少し怖くなりました。​

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